大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1058号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕三、そこで右許可をするについての附随処分の要否等について検討する。

鑑定委員会は、本件増改築を許可するについては、申立人らに財産上の給付として金銭の支払をさせる必要があるとして、本件土地の更地価格を3.3平方米当り金二〇万円と評価し、借地権価格をその七五パーセントに相当する金一五万円として、右借地権価格の1.5パーセントに相当する額を財産上の給付額とするのが妥当であるとして、本件土地全体については合計金二〇万四、三〇〇円を相当とするとしている。

ところで、本件資料によれば、本件建物は昭和一二年頃築造されたものであるが、その保存の状態が良く、これが近い将来に朽廃するような状況は認められない。そして両当事者双方の事情が現在のまま推移すれば、昭和五二年八月末日の経過によつて期間満了を迎えても、本件賃貸借契約は更新されるであろうと思われる。また本件増改築は、現存の本件建物に二階部分を増築するものであるが、右増築部分は、通常の居住用に供される家屋であるから仮りに借地法第四条第二項の建物買取請求あるいは同法第九条ノ二第三項の建物および土地賃借権優先譲受の問題が生じた場合でも、相手方としては現存の本件建物よりいくらか高額の出捐を余儀なくされるだけで、居住用としてその代金相当の客観的価値、効用を有する建物を取得することになるので、その点で相手方が格別不利益を受けるものとはいえない。しかし本件増改築は二階部分を増築するものであるとはいえ、一階部分の基礎および柱にも一部補強を加えるものであるから、本件建物の全体としての耐用年数は延長し、その朽廃の時期を遅らせることになる。そして、これは相手方が、借地上建物の朽廃によつて借地権が消滅した際に、本件土地の返還を受けて自己使用し、又は新たに相当の対価をもつて他に賃貸することによる利益を得る機会を遅らせて、相手方に不利益を与えることになる。一方、申立人らは右の借地権消滅の時期が延長して、本件土地について、現在より有効な利用が可能となる。したがつて右の当事者双方の利害を調整するために申立人らに、相手方に対する財産上の給付を命ずるのを相当とする。

そこで右の給付額について考えるに、前記当事者間の利害を現在の時点で算定する確定的な方式はなく、鑑定委員会の意見にある方式はこれまで屡々採用されている方式であるが、本件建物の建築面積の本件土地の面積に対する割合からも明らかなように、本件土地は現在有効に利用されているとはいえず、本件資料によれば、実際に本件建物の敷地として密接に利用されている部分は、本件土地の約六割に相当する部分であつて、残りは庭として利用されているにすぎないし本件増改築によつても、その有効利用の度合を増すのは僅かである。したがつて、前記の借地権消滅をめぐる当事者双方の利害は、一応本件土地全部に関することであるけれども、右給付額を算定するについて、直ちに本件土地全部の借地権価格を基礎とするのは妥当とはいえない。そして、本件の増改築の種類、規模等からして、右の本件建物の敷地としての密接な利用がなされていない部分については特に算定の基礎とする必要はないと解する。そこで、以上のような事情のほか、本件裁判において、他の借地条件は変更しないことも考慮し、給付額としては本件土地の約六割に相当する部分の更地価格の約一パーセントに相当する金一〇万九、〇〇〇円と定める。(福嶋登)

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